奥田均の曲解

「2005年意識調査、奥田均等曲解問題」

 2005年意識調査の結果報告書が大阪府から出されている。これに対して調査検討委員分析の報告書が奥田均等から出されている。この報告書たるものは、実に曲解にとんだものである。そこで、奥田氏の曲解のまとめをもとに、私のまとめを対比したい。
(1)調査の結果は、旧同和地区に対する心理的差別がなくなっていっていることを明らかにしている。
 奥田氏はこれと反対のことを言っているわけだが、大阪府のデータをまじめに読めば、こんな結論は出てこない。「わからない」という解答は、解決に向かっているという解答だととらえれていないことが、その原因だ。 問17「現在、同和地区の人たちは、結婚する際に反対されることがあると思いますか」にたいして「わからない」が2000年調査の15,0%から今回30,2%に急増しているのに対して、しばしば反対(33.9%→24,9)、たまに反対(44,3%→32,6%)が急減している。
 同様に、問14「同和地区の人たちは、就職するときに不利になることがあると思いますか。」に対してもわからない」が前回の22,1%から36,7%に急増しているのに対して、しばしば不利(22,6%→17,0%)たまに不利(22,6%→26,8%)が急減している。
 「結婚差別」「就職差別」というのが、部落問題の2大差別と昔は言われていたが、これらの差別がだんだんわからなくなっていく社会は問題が解決していっている社会なのだ。
 同様に、「人種差別」「男女差別」「障害者差別」等の差別が「わからなく」なっていく社会というのは、これらの差別がなくなっていっている社会なのである。
 「現在、女性は就職するときに不利になることがあると思いますか。」というような問が出されたのを考えてみるとよい。「不利になる」という人もいるし、「不利にならない」という人もいるけど、私の身の回りを見渡してみると「不利になるか、不利にならないかは、わからない」ということは、そいうことはとりたてて意識していないということを表しているのだ。
(2)「聞いたことがある」を「部落差別の実態がある」にすり替える奥田氏
 奥田氏は、分析のまとめ61ページで、『調査の結果はまた、結婚差別や就職差別、「同和地区の人はこわい」といううわさの流布など、府民の日常生活の中にも、部落差別の実態があることを明らかにしたと言える。』と結論づけている。
 問14で、同和問題、部落問題を知っているかと尋ねて、そのような問題は知らないと回答した人にも、問19からのアンケートに答えさせているのだ。問19で学校、職場で同和問題の学習をしたことがあるかとか、問20で「同和地区はこわい」という話を聞いたことはあるかとか、問25の同和地区の人との結婚に際して反対にあったことを聞いたことがあるか、ということまで答えさせているのだ。
 同和問題は知らないという人にまで、聞いたことがあるかと尋ねているのだ。この原稿を書いているこの日(8月24日)の朝日の朝刊には「解同安中支部長**恐喝により逮捕」という記事がでかでかと載っている。つい先日までは、同じく解同飛鳥支部長**の公金横領・詐欺逮捕の記事がこれまたでかでかとテレビでも報道されていた。同和問題は知らないという人でも、このような報道を見れば、「同和地区の人はこわい」と思って当然ではないか。
 その上、問20問25のように「聞いたことがありますか」という問に対して「聞いたことがある」という解答が多いことを根拠にして府民の日常生活の中にも、部落差別の実態があると奥田氏は曲解するしているのだ。
 「聞いた」=「実態の事実」とするならば、「奥田氏は無能な学者で、解同の御用学者だといううわさを聞いたことがある」から「奥田氏の実態は、無能な学者で、解同の御用学者だ」というのは、まちがいのない事実だと僕が結論づけたとしても、大阪府近畿大学は文句は言えまい。
(3)数値結果を曲解する奥田氏
 これは、大阪府から提供された生データを見れば明らかなのだが、分析56ページに2000年調査との比較の表があり、自分の結婚相手として相手が同和地区出身かどうか気になるが(18,1%→20,2%)自分の子どもの場合が(20,6%→23,2%)と上昇していることを根拠に、奥田氏は「結婚における同和出身者への差別意識がなお根強く残されている」と結論づけている。
 表の根拠は問7のデータであるが、この問は当てはまるものに○をいくつでもつけることができる複数回答の問なのだ。大阪府による生データをもとにすれば、2000年調査では、問に対して回答者1人あたり○がつけられた個数が2,14個であるのに対して、2005年調査では回答者1人あたり○が付けられた個数が2,83個なのだ。
 計算しやすいように亀谷流で四捨五入すれば、2000年には2個○を付けた人が2005年には3個○を付けた、つまり1,5倍○が増えたのだ。回答者数で各回答人数を割って%をはじきだしているのだから、先の18,1%が20,2%に、20,6%が23,2%に上がるのはあたりまえなのだ。わかりやすく言うならば、たとえ20%が30%になっていたとしても、2000年度と2005年度の意識は変わっていないということになるのだ。「結婚における同和出身者への差別意識が、上記データによれば解消されてきている」なぜならば、1,5倍も数値が上がっていないからだ、というように結論づけられなければならないデータなのだ。
(4)大阪府は、報告書を真摯にうけとめよ
 奥田氏などの分析ではなくて、府の報告書91ページ書かれている府民の意見・要望を大阪府は真摯に受け止めるべきである。
 意見要望の第1位は、「同和地区は優遇されている、逆差別になっている、保護されている、行政は支援しすぎ。」(201件)第2位「何もしなけれは知らなくてすむ、知らない子ども達にわざわざ教える必要はない。」(115件)である。
 今日の朝日の朝刊には、八尾市は解同安中支部への事務所の貸与を止めるとある。大阪府を筆頭に府内の市には、いまだに解同支部への事務所提供を行っているのだ。いまだに、大阪府教委は解同系列の研究団体が作った「にんげん」を人権読本と称して小中学校に無償配布しているのだ。大阪府民はこんなことをはやくやめよと言っているのだ。