映画「人間みな兄弟」とは

(映画) 1960 (昭和35)年 3月、亀井文夫監督の手で完成され、部落問題をはじめて正面からとりあげたものとして広く上映運動が展開され、多くの人びとに感銘をあたえた映画。
「部落差別の記録」という副題がつけられているところからも知れるように、地域住民に対する身分差別の傷あとが1950年代の現実のなかに、なおいかに深刻に残存していたかが明らかにされるとともに、そうしたきびしい現実のなかで、他の力をかりずに白からの力で差別にたちむかい、たくましく生きていこうとする人びとの姿がえがきだされている。差別の現象だけが強調されているという批判もあったが、部落差別の深刻さを理解させ国民の眼をひらかせるうえで大きな役割をはたした。また今日の地域の現実と比較するとき、 1960年代以降、いかに地域の現実が急速に変化したかを知るうえでも、この映画のもつ今日的意義は失われていない。