「同和地区」の呼称について

*この件に関しては、大阪府が2010年に府民意識調査を行った際に、同和地区とは何かという注を付けて説明をしている。この例にならって、羽曳野市が2011年に行った意識調査でも注を付けて説明をしている。あれこれ異論はあるが、一応行政的には、この呼称で現在統一されるのが妥当というところか。今回八尾市が、市職員宛に解説資料をつくっているが、これは、論外である。

(2010年度大阪府意識調査の注)
我が国では同和問題の解決に向け、平成14(2002)年3月に「地域改善対策特定事業にかかる国の財政上の特別措置に関する法律」が失効するまでの間、同和地区の環境改善や同和教育・人権啓発などの取り組みが積極的に進められてきました。その際、取り組みを進める対象地域として,法に基づき一定の地域が指定されており、この調査の中で「同和地区」という用語を使う場合、この法律によって指定されていた対象地域を示しています。

(八尾市の論外の説明)2011年8月配布文書
○「同和地区」とは
差別の対象とされている被差別部落を意味するが、そのエリアを確定させることは極めて困難であるとともに、行政が新たに線引きする事はあってはならない。

*八尾市は、この根拠として平成14年10月22日付けの大阪府企画調整部長通知をあげている。
「地対財特法の失効に伴い,同和地区、同和地区出身者に対象を限定した特別措置としての同和対策事業の前提となる、いわゆる「地区指定」はなくなり、特別対策事業はなくなりましたが、このことが、即ち、同和問題が解決した、あるいは、これまで特別措置としての同和対策事業を実施してきた同和地区はなくなったことを意味するものではありません。」

この問題点は、なぜ地対財特法は失効したのかという理由が説明されていないことだ。国は、なぜ失効させたかということを各関係都道府県に説明をし、説明文書を配布して徹底するように求めていた。職員研修などで「なぜ失効させたのか」ということが教えられていないのが大問題なのである。以下は、その資料。

  「今後の同和行政について」

平成13年1月26日

総務省大臣官房地域改善対策室

 2001年1月26日、総務省自治行政局主催全国都道府県企画担当課長会議の新年度予算についての説明会での資料配付(なお2000年10月30日旧総務省地域改善室の全国都道府県域改善主担会議も同趣旨の報告)

1.特別対策の終了

 平成9年の「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地対財特法)の改正(平成9年経過措置法)により、同和地区(対象地域)・同和関係者に対象を限定して実施してきた特別対策は、基本的には終了し、着手済みの物的事業等一部の事業についぞ平成13年度までの経過的措置として実施。

 平成13年度末(平成14年3月31日)に地対財特法の有効期限が到来することにより、特別対策の法令上の根拠がなくなることから、平成14年度以降同和地区の施策ニーズに対しては、他の地域と同様に、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努めた上で、所要の一般対策を講じていくことによって対応。

(注)一般対策とは

同和地区・同和関係者に対象を限定しない通常の施策のこと

〈特別対策を終了し一般対策に移行する主な理由〉

(1)特別対策は、本来時限的なもの

 これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化。

(2)特別対策をなお続けていくことは、差別解消に必ずしも有効ではない。

(3)人口移動が激しい状況の中で、同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難。

2.地方単独事業の見直し

 地対財持法の有効期限到来という同和行政の大きな転換期にあたり、地方単独事業の更なる見直しが強く望まれる。