羽曳野市「人権に関する市民意識調査(2011年実施)の問題点」

問題点は、多々あるが、一番の問題点は、調査項目の問5である。

問5 あなたは、あなた自身またはあなたの家族が、次の方々と結婚することについてどのように思いますか。((1)〜(4)のそれぞれひとつに○)

(1)同和地区出身者
(2)障がい者
(3)日本に居住している外国人
(4)HIV感染者やハンセン病回復者等

1,ためらうことなく結婚する(賛成する)
2,迷いながらも結婚する(賛成する)
3,迷いながらも結婚しない(反対する)
4,ためらうことなく結婚しない(反対する)
5,わからない

問5−1 問5「同和地区出身者」において2,3,4を選ばれた方
     2の方が迷う理由、3、4の方が結婚しない理由(反対する)理由は何ですか。
   (○はいくつでも)
1,世間ていが良くない
2,親戚が反対
3,家柄や血すじが違う
4,相手方の親戚とのつきあいが難しい
5,子どもや親戚が差別される
6,その他(   )

問5−2 問5「障がい者」において2,3,4を選ばれた方
     2の方が迷う理由、3、4の方が結婚しない理由(反対する)理由は何ですか。
   (○はいくつでも)
1,世間ていが良くない
2,親戚が反対
3,家柄や血すじが違う
4,医療費・介護費などの経済面が大変
5,相手方の親戚とのつきあいが難しい
6,子どもや親戚が差別される
7,その他(   )

問5−3 問5「日本に居住している外国人」において2,3,4を選ばれた方
     2の方が迷う理由、3、4の方が結婚しない理由(反対する)理由は何ですか。
   (○はいくつでも)
1,世間ていが良くない
2,親戚が反対
3,家柄や血すじが違う
4,相手方の親戚とのつきあいが難しい
5,子どもや親戚が差別される
6,その他(   )

問5−4 問5「HIV感染者やハンセン病回復者等」において2,3,4を選ばれた方
     2の方が迷う理由、3、4の方が結婚しない理由(反対する)理由は何ですか。
   (○はいくつでも)
1,世間ていが良くない
2,親戚が反対
3,家柄や血すじが違う
4,医療費・介護費などの経済面が大変
5,相手方の親戚とのつきあいが難しい
6,子どもや親戚が差別される
7,その他(   )


*この調査項目の差別性に関して

 調査項目についてだが、同和地区とは何かという説明は一応あるが、同和地区出身者とはそもそも何かという説明がない。何の説明もなく、回答させるという不親切さであり、誤解、偏見を抱かせるものとなっている。次に理由として、「3,家柄や血すじが違う」というのがあげられている。「②障がい者③日本に居住している外国人④HIV感染者やハンセン病回復者等」に関しては、この項目はない。ということは、同和地区出身者とは何かという説明がないことからも、羽曳野市の認識としては「家柄や血すじが違う」ということを意味しているともとれるのである。市民にそういう偏見、誤解を与えるのものなのである。明らかな間違いに関しては、問うこと自体が問題なのである。

 さらに、大阪府が、2010年に実施した府民意識調査の、問3の項目と比較すれば、自ずからその差別性が明らかになる。

問3 結婚相手を考える際に、気になること(なったこと)はどんなことですか。あなたご自身の結婚の場合と、お子さんの結婚の場合に分け、気になる項目を選んでください。お子さんがいらっしゃらない方も、いると想定してお答えください。(○はいくつでも)
1,人格、性格
2,趣味や価値観
3,仕事に対する相手の理解と協力
4,家事や育児の能力や姿勢
5,経済力
6,学歴
7,職業
8,家柄
9,離婚歴
10,国籍・民俗
11,相手やその家族に障がいのある人がいるかどうか
12,相手やその家族の宗教
13,一人親家庭かどうか
14,同和地区出身者かどうか
15,その他(具体的に:      )
16,特に気になる(気になった)ことはない

大阪府調査と比べるとはっきりするが、羽曳野調査は忌避度コンテストになっている。嫌い具合や嫌い度合いを明らかにするのが目的になっているのである。1番忌避度が高いのは○○で、2番目が○○だ、3番目が○○だ、4番目は○○だ、という結果が出るだろう。羽曳野市民の忌避度を序列化した結果を明らかにして、それぞれの問題が解決されると思っているとしたら、羽曳野市の人権感覚の無さを証明していることにしかならない。
 調査項目の中に、例えば、障がい者の中にも、いろいろあるといって、身体障がい者と知的障がい者を入れたらどうなる?ヤクザ、フリーター、ニート、高齢者、○○、○○というような項目を入れたらどうなる?許されると羽曳野市は考えているのだろうか。