宗教起源説とは

部落差別の原因は、宗教上のケガレの思想にふれる仕事にたずさわっていた人がいたからだという考え。
仏教には、生きものを殺すことを忌む思想があったし、平安時代にはさまざまな宗教がまざりあって、死や血のケガレにふれることを忌みきらう「触臓の思想」が広がっていた。そして、これらの思想によって差別がおこなわれたこともあるが、しかし職業起源説と同様に、それが部落の起源だというのは誤っている。人を殺すことで名誉をえていた武士や、ケモノをとるのが仕事であった猟師は、生きものを殺し、血を流しても差別されることはなかった。また近世社会でも、賤民の人びとの賦役の一つは、死んだ牛や馬を処理することで、生きた牛や馬を殺すことではなかった。
宗教起源説が歴史的事実を無視したこじつけの思想であるといえる。