差別用語とは

本来、あきらかに差別・侮蔑の意図をもって表現される文字や言葉のことである。
歴史的には、 1922(大正11)年全国水平社創立大会で決議された「吾々に対しえた及び特殊部落民等の言行によって侮辱の意志を表示したる時は徹底的糾弾を為す」の方針にもとづいて、差別用語に対する糾弾が進められてきた。
しかし1970年代にはいって、前後の文脈とはかかわりなし「めくら」・「部落」などの言葉だけを部分的にとらえて糾弾するという誤った傾向が強まり、とりわけ1973(昭和48)年ごろより、急速にマスコミおよび芸能関係者に対する糾弾闘争が、部落解放同盟などによって進められた。
その結果マスコミ関係者は、自主規制の名のもとに「禁句集」・「いいかえ集」を作成し、日本語を部分的にであれ死語にするようになった。
これに対し、 1975(昭和50)年 5月24日、日本放送作家組合をはじめ関係8団体の主催による「用語と差別を考えるシンポジウム」が開催され、 「差別用語」問題は、部落差別や心身障害者への差別をなくする行動と言論表現の自由との接点にわたる問題であり、二者択一・特定の考え方で割り切れるものではない」との立場から、まず何が起こっているのかの事実をタブーにせず、すべての国民の「開かれた討論」の対象としなければならないこと、国民の知らないところで言葉狩り言論統制にちかい措置がすすめられることは、人権を守り尊重する運動とは相容れないことなどが明らかにされた。
しかし、今日においても、行政関係者においては、言葉狩り言論統制のために意図的に差別用語を持ち出す事例が多々見かけられる。また、部落解放同盟に至っては、自ら使用するのを是としたり、利権目的に恣意的に差別用語を利用する事例も多々見られる。