職業起源説とは

部落差別の原因は、人のいやがる「いやしい職業」にたずさわっていたからだという考え。
この「いやしい」仕事の一つとして、ケモノを殺したり、皮をはぎ、それを加工したりする皮革があげられた。
もともと原始時代では誰もがケモノをとって生活していたし、古代社会でも肉食がおこなわれ、皮革を納める人たちもいたが、それが原因で差別されたということはない。近世でも、ケモノを殺す猟師は差別されなかった。
賤民階級の人が皮をはいだり加工することはあったが、すべての人たちがこの仕事にかかわったのではない。主として、農業など雑業で生活をしている人が多かったのである。「いやしい職業」にたずさわったから差別されたのではなく、最下層身分の者に「いやしい職業」とされる仕事や賦役がおしつけられていたのである。