市民的権利とは

イギリス革命やフランス革命など反封建のブルジョア革命によって勝ち取られたブルジョア的権利のこと。
部落解放運動のなかで、部落差別を市民的権利にかかわる問題として明確に認識してくるのは、全国水平社第13回大会 1935年からで、「部落差別の反社会性」について、それは単に「平等な権利を保証しないばかりでなく、身分制度によって、職業・住居・婚姻等社会生活の全領域にわたって市民的自由を拒否する点にある」と述べていた。
部落差別を市民的権利、とりわけ職業・居住・結婚などの自由の侵害の問題として把握している点は卓見というべきであった。戦後の部落解放運動でも、この考え方は基本的に継承されてきた。
しかしブルジョア革命によって確立された市民社会(資本主義社会〉においては、市民的権利(プルジョア的権利)は、その名のとおりブルジョアジー(支配階級〉の権利としては実現されているが、労働者・農民その他の勤労者にとっては不完全にしか実現されておらず、支配階級は、国民大衆の市民的権利を実質的に制限し抑圧することによって階級的支配、搾取・収奪を強めてきた。
したがって高度に発達した現代日本の独占資本主義社会においては、国民大衆にとっての市民的権利は、もはや反封建の闘いだけでなく、独占資本主義がもたらす格差社会、貧困、政治的腐敗、に反対する民主主義運動によらなければ実現しえないものとなっている。
そして、市民的権利の内容も、当初の参政権自由権を中心とするものから、団結権ストライキ権・労働権・生存権などの社会権をも含むものにかわってきたのである。こうして今日では、人類普遍の原理としてすべての人に平等に保障されなければならない権利として、人権あるいは基本的人権という言葉が用いられるようになってきたのである。