泉南市「くらしやすいまちづくりに関するアンケート調査」とりあえずの問題点

2012年11月実施         

(1)はじめに
 泉南市人権推進部人権推進課は、12月3日締め切りの上記アンケートを泉南市民に実施した。その内容は、主として同和問題に関するアンケートであり、同和問題解決になんら役立たないどころか、問題解決を遅らせるものとなっている。以下具体的に、その問題点を指摘したい。
 一番の問題点は、アンケートに「同和地区出身者」「同和地区」という用語が頻繁に出てくるが、その説明がなされていないことだ。大阪府大阪市等では、やむを得ず「同和地区」の名称を使わざるをえない場合には、その説明を文中でおこない誤解が生じない配慮がなされている。2010年度府民意識調査・市民意識調査でもその配慮がなされている。府下の自治体が行う調査でも、それらの配慮がされている。泉南市は、「同和地区出身者」「同和地区」とは何を意味しているのかの説明がなく、市民に誤解や偏見を生じさせるものとなっている。

(2)「差別や人権尊重に関するあなたの意識や考え方をお聞きします。」に関して
 P3の問3で、「結婚相手を考える際に、どのような条件を重視しますか(しましたか)・・・」という問いがあり、「1、職業 2,性格 ・・・」という選択項目がある。
 結婚の問題に関しては「婚活」の時代と言われるように、「結婚しようと思っても結婚できない状況」「結婚できないと思わざるを得ない状況」「結婚しようという気持ちにすらなれない状況」を意味しているのが「婚活」の時代という用語である。このような状況に対して泉南市としてどのような施策ができるかを尋ねるようなアンケートでなければ意味がない。
 P3の問4で、「問3で選んだ条件を満たしているお子さんの結婚相手が、次のような人であった場合・・・」とあって、「1、同和地区出身者 2,日本で生まれ育った在日韓国・朝鮮人 3,車いすが必要な人・・・」とある。
 わざわざ1から6までの人を取り上げて聞くこと自体が偏見を植え付けるものである。「同和地区出身者」とは、誰のことを指しているのか説明がない。説明もなく使用すれば、泉南市は誰がそうであるかと市民に考えさせる意図を持ったアンケート項目だと言われてもしかたがあるまい。
 P4の問5で、「あなたは、家を購入したり、マンションを借りたりするなど、住宅を選ぶ際に、価格や立地条件などが希望にあっていても、次のような物件の場合、避けることがあると思いますか。・・」という問に対して「1,同和地区の地域内である ・・・・」という項目がある。
 大阪府大阪市の意識調査でも問題になった項目だが、価格や立地条件以外に何があるのだ。立地条件というなかにすべての条件が含まれているのだ。にもかかわらず、「同和地区」という項目をあげること自体、偏見を助長するものでしかない。

(3)「同和問題や人権に関する学習に関して聞きします。」に関して
 同和問題がメインで、次にその他の人権問題という扱いである。本末転倒の問である。いろいろな人権問題があって、その中の一つが同和問題である。

(4)「ここからは、主に同和問題についてお聞きします。」に関して
 主にではなくて、問11から問18までの問すべてが同和問題に関する問である。
 どの問も問題であるが、P11の問17で、「あなたは、同和地区出身の友人や知人がいますか。」という問に対して、「1、いない、またはわからない 2,親しいとはいえないが、いる 3,親しく付き合っている人がいる 4,家族・親族がいる」という項目がある。そもそも友人、知人に対して「同和地区出身者」かどうかを泉南市民はいちいち意識しなければならないのか。意識して付き合うこと自体が差別することではないのか。友人、知人の中にわざわざ家族・親族を含める意図は何か。あなたは「同和地区出身者」かどうかと尋ねているのと同じではないか。泉南市は市民に対して「あなたは同和地区出身者ですか」と尋ねていいのか?