2007年「泉南市民人権意識調査」と2012年「くらしやすい町づくり調査(同和調査)」との相違点について


泉南市民の人権意識調査の一つの目的は経年変化である。前回調査と今回調査は経年変化を見る内容になっていないのが特徴である。まず、題名から異なる。

*様々な人権問題を取り上げ、その一つとして同和問題を取り上げていたが、今回は人権問題イコール同和問題である。
 前回の問3は「男女の役割分担」、問4「女性差別問題」、問5「いじめ体罰問題」問6「高齢者問題」問7「障がい者問題」問8「定住外国人問題」など様々な人権問題を取り上げていた。
 今回の問3問4は「同和問題に関連した結婚問題」、問5「同和問題に関連した住宅問題」問6「人権侵害体験」問7「同和問題に関する教育」でり、同和調査アンケートである。
 前回の問5の「いじめ体罰問題」は、現在一番の緊急課題ではないか。なぜこの項目まで消し去ったのか。

*前回調査では、同和問題解決の展望と、そのための行政施策の課題を尋ねているが、今回調査では展望も課題もなく、個人責任としてる。
 前回の問9で「偏見や差別は20年後にはなくなるか」と尋ね、問19で「自立支援を行うとか、交流を深め協働するする町づくり」とかいうように、差別をなくすための具体的な施策例を尋ねている。
 今回は、問14で就職と問15で結婚を取り上げて「近い将来できるか」というように、曖昧模糊で期限もきらず、問6で人権侵害を受けたと感じた際にどのように行動して、解決したかと尋ねている。人権侵害を個人責任で解決するように求める内容となっている。

*前回調査より、今回調査はより偏見を増幅させている。
 前回の問12は4項目の質問で、「例えば3,同和地区の人はこわい」、今回は項目を6項目にして、「例えば3、同和地区の人はこわい。」に「4、同和地区の人は無理難題を言う」「5,同和対策は不公平」を付け加えている。「こわい人」「無理難題を言う人」は、どこの地区でもいるのに、「同和地区の人」はと言うのは、偏見を増幅させるものだ。

*前回調査になく、今回調査で新たに入れた問17は、同和問題解決を妨げるものである。
 今回の問17「あなたは同和地区出身の友人知人がいますか。家族・親族はいますか」という問は、友人知人、家族・親族とつきあうときに、誰々はどうか、ちがうのか、そうなのかなどと、わざわざ意識して、分け隔てして付き合いをしなさいと言っているようなものである。