「部落」「同和地区」今もあるのですか。

 部落問題・部落差別でいう「部落」は、江戸時代の賤民身分の人々が暮らしていた集落の呼称です。明治時代になっても、江戸時代の旧身分秩序は、明治憲法、旧民法、旧戸籍法などの制度的不備により、不十分な解体しかなされなかったことが原因で、職業、結婚などの自由も不十分なものとなり、旧身分秩序の賤民身分に対する差別意識も払拭されませんでした。
 戦後、新憲法が制定されるなど制度的不備も解消され、部落問題・部落差別解決のため特別措置法による同和対策事業(1969年から2002年)がなされたことにより、問題は解決されました。
 「同和地区」というのは、同和対策事業を行うための対象地区の呼称であり、「部落」であっても、対象地区とならなかった地区は「同和地区」とは呼びません。特別措置法が終了した現在「同和地区」はありません。
 「部落」と呼ばれた集落も、明治初期、戦後初期の激動期に消滅した所も多く、戦後の高度成長による経済発展や同和対策事業による環境改善により、集落という景観はなくなり、周辺地域との分別もできなくなりました。、
 人口の流出入により、居住する人々の入れ替わりも激しく、誰が従来からの居住者で、誰がそうでないかも分からなくなりました。
 特定の地域を「部落」などと呼べない実態になったこともあり、今は「部落は存在しない」と言えます。