部落問題の解決とはどんなことですか。

一例として、2012年に大阪府泉南市が市民3000人を対象に「泉南市くらしやすいまちづくりに関するアンケート調査」と称して行った問17をあげます。問17では、「あなたは同和地区出身者の友人や知人がいますか」と尋ね、さらに「家族・親族がいる」かどうかまで尋ねました。
 泉南市は友人、知人と付き合う際には同和地区出身者を考えてつきあえと言い、家族、親族に同和地区出身者がいるかということは、あなたは同和地区出身者かどうかを意識しなさいと言うわけです。
 部落問題の解決とは何かと言えば、友人・知人・親族とつきあう際には、同和地区出身者かどうかなど全く意識しなくなった状態が、部落問題の解決した状態なのです。市民にことさら意識させる限り解決はありません。
 就職や結婚の際に部落差別があると言われていましたが、この就活・婚活の時代に部落差別を行うこと自体が困難です。面接で家族構成を聞いただけで労働局が指導に入る時代に就職差別などをすれば、企業イメージは計り知れないダメージを受ける時代です。
 結婚に関しても、未婚化、非婚化が進み、親戚関係は密ではなくなり、親戚が結婚に口を出すことが不可能となりました。「部落問題」により、親から反対されて気持ちが揺らぐような人だったら、早めにそんな人だとわかってかえって良かったという割り切る若者が普通になりました。「部落問題」に関して偏見を持つような人とは、そもそも付き合わずに、もっと人権意識の高い人と付き合うべきだという若者も普通になりました。
 広い世間の中には、旧態依然とした低レベルの人権意識を持った人もいるでしょうが、そんな人でも就職・結婚差別を行うことは困難になってきているのが実情です。