部落問題とは何ですか?

(1)部落問題とは封建時代の残り物です
江戸時代までの日本の封建社会は身分をもと
にする社会でした。明治以後の日本の近代化の
中でも、地域社会の中では江戸時代の賤民身分
につながりがあるとされた一部の地域が差別さ
れていました。これに対して、差別の解消をめ
ざす運動が大きく広がりました。
しかし、天皇を頂点とする皇族・華族・士族
などの身分制度、地主制度、戸主制度など半ば
封建的な体制のもとで解決されることはありま
せんでした。
戦後、日本国憲法の成立と国民の民主主義的
意識の高まりの中で、部落問題は解決に大きく
道を開きました。
1969年から始まった同和対策事業は国地
自治体あわせて15兆円が投入され、日本の高
度経済成長とともに地域の状況を一変しました。
劣悪な地域の環境は改善され、「部落」と呼
ばれた集落の景観もなくなり、周辺地域との分
別もできなくなりました。人口の流出入により、
居住する人々の入れ替わりも激しく、誰が従来
からの居住者か、誰がそうでないかも分からな
くなりました。結婚や進学・就職も大きく改善
されました。

(2)子ども中には部落問題はありません
1965年の同和対策審議会答申は、経済的
事情による子どもたちの不就学・長欠、進学・
就職の困難、トラホームなど疾患や栄養状態の
困難などを子どもたちの中の部落問題として指
摘していました。同和対策事業により、地域の
環境や就職が改善され、このような問題は姿を
消しました。
今日の不登校・登校拒否やいじめ、低学力、
就職の困難などは日本社会の全体の問題です。
大阪府教委は部落問題の残された課題として「同
和地区は低学力」と述べていましたが、府民
ら「混住が進むもとで、低学力は経済的状況に
よるものでなく部落問題によるものと根拠をあ
げて言えるのか」と指摘され、答弁不能になって
います。

(3)部落問題の解決とは出身を意識しないこと
2012年に泉南市が行った市民アンケート
は驚くことに「あなたは同和地区出身者の友人
や知人がいますか」「家族・親族がいますか」
という項目がありました。
このようなことを市民に意識させている限り、
部落問題は解決しません。
この泉南市の例で言えば、逆に部落問題の解
決とは、友人や知人、家族・親族が、「同和地
区」出身者かどうか意識しない、そんなこと関
係ないわ、という状態になることが部落問題の
解決なのです。
そして現在では、「同和地区」という指定も
なくなり、「同和地区」出身かどうかを意識す
ることはありません。社会問題としての部落問
題は基本的に解決しています。
まだ偏見や誤解を持つ人がいるにしても、社
会としてそれが受け入れられることはなく、逆
に克服して国民融合をすすめていくところまで
来ているのです。