「部落民宣言」をどう考えたらよいのか。

(回答)運動の持ち込みで、公教育では認められません。

部落民」とは現在、部落解放同盟が使って
いることばです。「自分は何者なのか」という
自己同一性(アイデンティテイ)にかかわる認
識が必要で「部落差別を受ける可能性」(社会
的立場)を自覚し、部落民として生きていくこ
とを引き受けるという主体の確立の問題だそう
です(注)。

「部落差別を受ける可能性」という恐怖心を
子どもたちに育てることに賛同することはでき
ません。「部落民宣言」や「立場宣言」という
形で部落解放同盟のこの考え方を教育に持ち込
むのは、運動の持ち込みであり、公教育として
は認めることができません。

今の時代に「武士宣言」や「公家宣言」をす
る人がいたら、周りの人はびっくりするでしょ
う。旧身分にこだわって生きていくことは封建
制度にとらわれた生き方です。
子どもたちには部落差別なんてもはやない、
もう許されない社会だと知らせるべきです。

(注)
「『部落解放同盟綱領』解説のための基本文書」
2011年
部落民の定義にあたっては、「自分は何者なのか」
という自己同一性(アイデンティテイ)にかかわる認
識が必要である。アイデンティテイを構成する要素は、
一般的に言って大きな要素として3つある。一つ目は、
「生育環境」であり、2つ目は「他者評価」、3つ目
は「自己認識」である。「生育環境」と「他者評価」
は、本人の意識とは関係なく客観的に「部落差別を受
ける可能性」を形成する。「自己認識」は、その可能
性(社会的立場)を自覚し、部落民として生きていく
ことを引き受けるという主体の確立の問題である。