東大阪市なんとびっくり!乱脈同和のこの事実!

(平成20年度東大阪市包括外部監査結果報告書から)


(はじめに)
 東大阪市の乱脈同和の実態に関しては、平成20年度包括外部監査報告書で厳しく指摘され、早急に改善するように監査人が勧告しました。資料・引用はすべて上記報告書による。全資料は、インターネットで公表されています。


*1年に12回の仕事で832万円! 荒本斎場
 (荒本斎場写真)
 指定管理者 職員2人  
     平成17 年度 平成18 年度  平成19 年度
歳入     150 千円   80 千円    70 千円
歳出    8,301 千円  8,312 千円   8,320 千円

?荒本斎場運営の効率性(意見)
荒本斎場は、他の6 斎場同様、市営斎場であるが、運営は指定管理者により行われている。しかし、市営斎場申込書の中の斎場一覧表に記載されていない。
荒本斎場は、旧同和対策の一環として整備された経緯があるが、地対財特法の失効後も、地域住民の利用のみとなっている。そのため、荒本斎場の火葬場利用状況の推移を見ると、平成17 年度が19 体、平成18年度及び平成19年度は12 体と少ない。火葬1 回当たりの維持管理コストに要する費用は69.3 万円であり、他の直営斎場の平均値22.4 万円と比較すると高額であり、荒本斎場の効率性は低くなっている。

?葬儀場の必要性(意見)
荒本斎場における葬儀場の利用件数は、平成17 年度14 件、平成18 年度1 件、平成19 年度0 件と利用頻度は減少している。どの地域の火葬場を利用するか、官民いずれの葬儀場を利用するかは市民の選択によるものであり、今日、住民の意識及び価値観が大きく変化する中、荒本葬儀場に対する住民ニーズが希薄になっていることも原因と考えられる。このような社会情勢にあって、公の施設の設置目的である「住民の福祉を増進する」ことに効果的に寄与するものとは言い難い。施設の廃止を含め検討すべきである。


部落解放同盟に事務所を転貸! 長瀬人権文化センター
 (長瀬人権文化センター写真)
職員総数13 名(事務職員9 名、技術職員1 名、嘱託員1 名、アルバイト1 名、非常
勤嘱託員1 名)

       平成17 年度  平成18 年度   平成19 年度
歳入       8,917千円   8,844千円     8,772千円
施設運営費 133,492千円  133,280千円    106,093千円

?東大阪市人権長瀬地域協議会の経費負担(結果)
当施設の1 階の一部については、東大阪市人権長瀬地域協議会(以下、協議会とい
う。)が市から行政財産の目的外使用許可を受けて使用している。許可理由は、協議会は公共的団体で一切の収益を目的としない団体であること、当施設が地域住民の自主的・組織的活動と一体関係にあり、同和問題をはじめとする人権行政の促進を図る窓口団体との一体的な管理運営が必要であることであり、市が地方自治法第238 条の4 第7項に基づき、施設の「用途又は目的を妨げない限度」において、目的外使用の許可を行ったものである。なお使用料は免除している。このような関係は、協議会が設置された昭和58 年から約25 年間継続している。
しかし、使用許可にあたり、光熱水費等の必要経費は使用者が負担しなければならな
いことを条件としているが、現実には、経費の分類算出が困難であることを理由として、使用者からの徴収は実施されていない。これは使用許可条件違反の状態になっているので、概算額を算出した上で使用者からの徴収を実施するなどの措置を講ずるべきである。
?部落解放同盟支部への転貸(結果)
協議会は、目的外使用許可を受けた施設について、その一部を部落解放同盟支部(以下、解放同盟という。)へ転貸をしている。市は解放同盟への使用許可を、昭和39 年の開館当初から行っており、協議会が設置されてからは、協議会経由の転貸状況が続いている。
市の協議会に対する目的外使用許可においては、使用許可財産の全部又は一部を転貸してはならないことが条件とされており、現状は使用許可条件違反の状態になっている。地方自治法第238 条の4 第9 項は「許可の条件に違反する行為があると認められるときは、普通地方公共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。」と定められている。市は、協議会による解放同盟への転貸している状態を放置すべきではなく、速やかに解消すべきである。
?委託契約の方法
・・・(財)東大阪市雇用開発センターは警備業務及び清掃業務に関する専門性に欠けることは上述のとおりであり、少なくとも「技術」「経験」という要件に欠けるものといえる。よって、(財) 東大阪市雇用開発センターへの清掃業務の随意契約は、地方自治法第234 条第2 項及び同法施行令第167 条の2 第1 項第2 号に準拠していない。競争入札を導入し同業他社の参加機会の公平性を確保し、適正な価格競争を通じコスト低減を図る必要がある。
?施設のあり方(意見)
・・・ここ3 ヵ年の貸室稼働率は10%に満たない水準となっている。これについては近隣の長瀬青少年センターの会議室が無料であることも低水準の一因となっており、また、稼働率向上のための特別な対策は講じていないのが実情であった。効率性の観点から見れば有効利用されてないと考える。
・・・地対財特法が失効した現在、市民全体のサービス水準の公平性の観点から見ると、引き続きこうした手厚いサービス提供を続けるべきかどうか、検討すべき時期を迎えていると思われる。これらを踏まえて行政サービスの内容の縮小とそれに伴う職員数の見直しを検討すべきである。


*公費4500万円かけて特定少年野球チームに独占使用! 長瀬青少年運動広場

(長瀬青少年運動広場写真)
(バッティング練習用ネット写真)
(物置写真1,2)
(バス、前方が市の所有)

?野球教室の開催
野球場は、東大阪市立青少年運動広場条例に定める施設であり、利用の許可を受けようとする者は、あらかじめ教育委員会の許可を受けなければならない(同条例第3 条第1 項)。現状では野球場は、上位組織である長瀬青少年センターの館長が、年間を通じ、野球の大会日を除く全開場日について野球教室として使用許可申請を行い、野球場を予約し確保しているが、実際には、野球教室として予約した時間帯を特定の地元少年野球チームに使用させている。
これは、平成15 年に条例改正されるまでは、同運動広場は地元利用に限定され、野球チームに独占的に使用させてきたが、条例改正後一般に開放されることとなり、同野球チームの独占状況を継続するためこのような形をとっているものと考えられる。
?利用者間の公平性(意見)
地方自治法第10 条第2 項は「住民は(中略)その属する普通地方公共団体の役務の
提供をひとしく受ける権利を有」するとの原則(平等原則)を定めている。この規定の
趣旨を受け、同法第244 条第3 項では、「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」と規定している。
同野球場については、住民に広く開放されるべき公の施設でありながら、オーパスに加入していないうえ、市の公式ホームページにも公開されていない。そのため、事実上、住民の使用許可申請の機会が著しく制約されている。また、「第4.4.(22)?野球教室の開催」で述べたように、市が「野球教室」として大会等を除く全開場日を予約した結果、一般住民が利用しようにも利用できない状況となっており平等原則の趣旨に抵触する恐れがある。さらに、野球場を特定の地元少年野球チームに独占的に使用させた結果、野球チームが購入すべきものでありながら、市が購入した設備が存在し、他方で、公の施設でありながら、施設内に野球チームの私物が存在するという状況となっている。例えば、野球場には、バッティング練習用ネット(写真)が置かれているが、先に述べた地元少年野球チームが利用するために市が購入した備品である。野球場の周りにいくつかの倉庫が置かれている(写真)が、同チームの備品置き場となっている。駐車場には2 台のバスが停められており、いずれも地元少年野球チームの名前のステッカーが貼付されているが、うち1 台は長瀬青少年センターが購入した市の備品(写真)である。このように、利用者と利用が排除される者との間に著しい不公平が生じており、利用者間で不当な差別的取扱いの規定に抵触する恐れがある。また、特定の地元野球チームによる野球場の独占的な使用が常態化している状況からすれば、野球場の維持管理及び運営に年間運営費に4,500 万円前後もの公費を投入することに住民の理解を得られるか甚だ疑問が生じる。
以上より、当該状況は地方自治法第10 条第2 項、第244 条第3 項に抵触する恐れがあり、野球場の使用については、他の住民への不当な差別的な取扱いや使用制限とならないよう,是正措置を講ずることが求められる。
?使用の開放(意見)
設立当初は、同和地区における青少年の人権意識の向上や健康増進、健全育成を目的とし設立され、主として地元少年野球チームに使用させてきた。地対財特法が失効し条例改正された現在、地元少年野球チームに公の施設である運動広場を独占使用させる理由に乏しい。これまで優先的に使用させてきた経緯もあるため、急に他施設と全く同等の扱いをすることは困難であろうから、経過措置を設けるなど激変緩和措置を講じつつ、徐々に同施設の目的である青少年に向けた一般開放を行うべきである。また、最終的には、オーパスその他の方法を導入し、利用機会の公平性、選定手続の透明性、選定基準の客観性を確保すべきである。
? 受益者負担(意見)
長瀬青少年運動広場の使用料は野球場、テニスコート、柔道場とも無料となっているが、運営には平成19 年度で45 百万円と非常に多くの公費が投入されている。この施設を利用する者と、民間や他の公設施設を利用せざるを得ない者との間で著しく公平性を欠く状況にある。
・・・他の野球場はいずれも使用料を徴収しており、青少年運動広場だけ使用料を徴収しない理由は見当たらない。
テニスコートについても、青少年運動広場以外の市が運営するテニスコートは、無料のところはなく、1 時間あたり500 円から2,000 円(照明設備使用料は除く)の使用料を徴収している。テニスコートの運営は民間事業者でも実施されていることからしても、テニスコートを無料とする理由は見当たらない。利用の公平性や受益者負担の観点からも、使用料の徴収について検討すべきである。
?青少年運動広場運営委員会の開催(結果)
東大阪市立青少年運動広場条例第10 条で、青少年運動広場運営委員会を設置(同条第1 項)し、青少年運動広場の運営に関する重要事項について、調査審議する(同条第2 項)こととされている。しかし、平成7 年度以降、委員を任期ごとに任命しているにもかかわらず委員会を開催していない。
条例改正により同青少年運動広場の目的が変更され、平成15 年4 月1 日より一般に開放されるようになったことや、毎年の運営方針の決定は、同条例第10 条第2 項で規定する重要事項に該当すると考えられ、同規定に反していると考えられる。
今後は定期的に開催し、運営に関する重要事項について、調査審議を行う必要がある。


*特定少年野球チームは照明設備使用料がタダ! 荒本青少年運動広場
 (荒本青少年運動広場写真)
?照明設備使用料の徴収(結果)
運動広場の使用料は無料であるが、照明施設に係る使用料は1 時間4,000 円となっており(東大阪市立青少年運動広場条例第6 条第1 項)、利用者は照明設備使用料を使用前に前納することとなっている(同条第2 項)。また、条例上減免措置についての規定は定められていない。
しかし地元少年野球チームについては、照明設備使用料を徴収していない。同チーム
に対しては、照明がいつでも自由に利用できる「照明設備利用全灯カード」を貸与して
いる。同チームから照明設備使用料を徴収しないのは東大阪市立青少年運動広場条例第6 条に反するため、照明設備使用料を徴収する必要がある。
?受益者負担(意見)
荒本青少年運動広場の使用料は無料(照明設備使用料を除く)となっているが、長瀬青少年運動広場同様、施設の運営に平成19 年度で53 百万円と非常に多くのコストがかかっている。この施設を利用する者と、民間や他の公の施設を利用せざるを得ない者との間で著しく公平性を欠く状況にある。利用の公平性や受益者負担の観点からも、使用料の徴収について検討すべきである。
?使用の開放(意見)
荒本青少年運動広場についても、地元の少年野球チーム優先で使用させているが、空き時間について一般開放を行っている。使用にあたっては、いったん希望者から使用の申し込みを受け、利用前月の第3 木曜日に抽選により使用者を確定している。しかし、特定の地元少年野球チームについては優先的に使用できることとなっており、チームが利用しない空時間帯のみ一般利用者の申込みを受け付けている。
しかし、地元少年野球チームに優先的に使用させているため、他の少年野球チームは練習で使用することができない状況である。地対財特法が失効し条例改正された現在、地元少年野球チームに公の施設である運動広場を優先使用させる理由に乏しい。これまで地元野球チームに優先的に使用させてきた経緯もあるため、急に他と同等の扱いをすることは困難であろうから、経過措置を設けるなど激変緩和措置を講じつつ、同施設の目的である青少年に向けた一般開放を行うべきである。また、最終的には、オーパスその他の方法を導入し、利用機会の公平性、選定手続の透明性、選定基準の客観性を確保すべきである。


*なんとリッチな! 荒本青少年センター

職員16 名(館長1、総括主幹2、看護師1、指導主事及び指導員12)
嘱託1 名(指導員1)
アルバイト4 名(指導員2、調理担当補助2)
再任用3 名(指導員1、調理担当員2)

?施設の内容及び実施事業
表中の施設の内容にも記載のとおり、学年別教室、スポーツホール(体育館)、プール、音楽室、工作室、図書室、調理室教室、給食室など、学校さながらの施設である。
設立当初は、学校の授業の補完が主たる目的であったが、平成15 年より一般開放さ
れ徐々に同小学校区内の同和地区以外の地区からの参加者が増え、実質的には学童保育に類した事業を同施設で実施している。
小学生の登録者を対象に、学校のある日は学校の授業終了後、土曜日及び春・夏・冬休み期間中は終日、指導員(全16 名:職員12 名、嘱託1 名、アルバイト2 名、再任用職員1 名)や教員(ボランティア)により生活指導や学習活動が行われている。また、曜日により、学習教室、書道教室、珠算教室など開催されているほか、館外活動なども実施されている。学校で給食を受けない日については、センターで給食が実施され、その他補食も実施されている。
センターが学童保育と同等の事業を実施しているため、同小学校区には学童保育(児
童育成クラブ)は設置されていない。また、中学生、高校生を対象に夜間学習会が実施されている。平成19 年度で中学生については184 回、高校生については66 回の夜間学習会が開催されている。
?利用者間の公平性(意見)
年間施設運営費は、平成19 年度で221 百万円である。最も大きいのは人件費であり、平成19 年度で167 百万円と施設運営費のうち7 割超を占めている。
小学生登録者1 人あたりコストで見てみると、1 人あたり157 万円(平成19 年度。中
学生及び高校生学習会指導主事の給料は除く)となっている。
一方、センターが属する小学校区以外の小学校区における学童保育(児童育成クラ
ブ)は平成元年までは市直営による運営であったが、現在は地域の代表から構成された運営委員会が運営を行っている。これらの学童保育では、運営委員会に市から交付され
助成金と月額5,000 円の会費(他におやつ代2,000 円)でまかなわれている。
児童育成クラブの登録児童数は平成18 年度で、2,554 人、助成金総額は331 百万円となっており、一人あたりにすると約12 万9 千円である。年度は相違するが、児童1 人あたりの児童育成クラブへの助成金は、センター施設運営費の10 分の1 以下の金額となっている。また、センターのような学童保育専門の施設と指導員を持たず、主として小学校の校舎を利用し、運営委員会が委託した指導員となっている。
利用者の負担についても、センターでは低学年月額1,500 円、高学年月額2,000 円の協力金を負担しているが、これらは主として給食の食材費に充てられている。
児童育成クラブでは、先に述べたように、月額5,000 円の会費(他におやつ代2,000円)を負担しなければならず、また、給食はないため、弁当を持参しなければならない。
センターを利用できる校区に所属する住民、しない住民で著しい不公平が生じている。これについて、地方自治法第10 条第2 項は「住民は(中略)その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有」するとの原則(平等原則)を定めている。青少年センター、児童育成クラブの利用者は、実質的に所属する小学校校区により決まるため、利用者が自由にサービスを選択できない以上、同様の目的を持つ事業については同程度を負担した上で、同程度のサービスを提供すべきである。小学校校区の違いにより利用者間で大きな不公平が生じないよう、サービスや助成金額の公平性について検討する必要がある。また、中学生、高校生を対象とした夜間学習会は、青少年センターが設置されている地区以外では開催されておらず、ここでも地区間の不公平が生じている。地区間におけ教育格差の解消を目的に実施されてきているものであるが、地対財特法が失効し条例改正された現在、今後の同事業継続の必要性について検討する必要がある。
?委託契約の方法
イ)契約の方法(結果)
大門警備保障?への委託について「地域や業務に精通している」ことを理由として、随意契約(2 号随意契約)としている。しかし、前述のとおり、当施設は警備に特別の習熟や高度な技術的専門性を必要とする施設ではない。そのため、当施設の警備業務は、制約の少ない一般的な業務であり、同業他社によっても事故防止に留意しつつ施設の保安を確保することは十分に可能であるから、2 号随意契約の要件(契約の性質又は目的が競争入札に適さないものをするとき)に該当しないことは明らかである。よって、大門警備保障?への保安業務の随意契約は、地方自治法第234 条第2 項及び同法施行令第167 条の2 第1 項第2 号に準拠していない。
当該随意契約は、東大阪市財務規則第108 条が定める「契約の目的、内容その他契約について必要な事項を示して2 人以上の者から見積書を提出させなければならない」との措置が同契約では講じられていない。ここ数年は比較見積書を徴収せず、金額も変更していないとのことで、価格の有利性の検討がなされていない。
競争入札を導入し同業他社の参加機会の公平性を確保し、適正な価格競争を通じコスト低減を図る必要がある。
なおこの委託先は、「第4.4.(6)荒本老人センター」の保安業務委託先と同じである。近隣の荒本人権文化センターの保安業務委託先も同じく大門警備保障?であるとのことであった。近隣他施設との一体的委託の導入により、コスト低減を検討する必要がある。
?施設のあり方(意見)
センターで実施している事業は、非常に有意義なものであるが、センターのある小学校区とない小学校校区において、学童保育サービスに著しい不公平が生じている。他校区の学童保育(児童育成クラブ)では小学校の校舎を利用しており、センターの実施する事業の大部分は、同校区の小学校の校舎で代替実施が可能と考えられる。

*空き室いっぱい!多額の滞納ほったらかし! 荒本・長瀬産業施設、事業所

(長瀬事業所写真1,2,)

?空室問題(意見)
各産業施設は、昭和40 年、50 年代に設置されたものが多く、当初の使用者が退去し全体では、空き施設の割合が13.2%、非営業の割合が8.2%であり、特に改良住宅の店舗については空きの状態が66 施設中12 施設(18.2%)になっている。改良住宅の店舗で空きが多い原因は、当初の使用者以外の者への使用許可をしていないからである。これについては、住宅地区改良事業施行に伴う移転補償のために設置した施設であり、建設費の69%相当は補助金を充当しており(住宅改良室所管の平均値)、当初の使用者以外の者への使用許可が使用目的の変更で補助金返還の可能性がでてくるからとのことであった。施設の設置目的からすれば、産業の育成及び振興を図ることなので、有効利用のためにも、当初の使用者以外の者への使用許可の可能性を検討することが必要である。
?多額の滞納額(意見)
産業施設の平成19 年度の年間の調定額は46,250 千円であるのに対し、平成19 年度末時点における滞納額は74,783 千円である。滞納額の内訳は、平成19 年度分が8,616千円で、平成18 年度以前分が66,166 千円であり、平成19 年度の滞納率は18.6%(8,616÷46,250)となっている。これについては、個別訪問等により回収努力をしているとのことであるが、平成18 年度以前の滞納については、7.0%の回収率(平成19 年度回収額÷平成18 年度末滞納額)でしかない。
・・・また、50 万円超の滞納額は全体の85.9%に達しており、かつ5 年を超える滞納の割合は69.9%で、長期にわたって滞納している者が多くなっている。
・・・この問題が発生した要因としては、東大阪市営産業施設条例第4 条の定めにより、保証人を設定しているが、本人が滞納した場合にこれまでに保証人から徴収した実績はなく、保証人制度は形骸化していた点や、滞納しても移転補償や営業補償の要素もあること等から、市が強制的に退去を求めにくい状況が考えられる。しかし、このような状況は、入居者間の公平性を害し、健全な入居者の使用料支払意欲を喪失させ、支払滞納を助長するというモラルハザードの温床となる危険がある。入居者間の公平性を確保し、問題のさらなる深刻化を防ぐために、滞納者に対してどのような措置をとるかが、今後の課題となっている。ところで、使用料には、5 年の短期消滅時効が適用される。この種の債権についても、市は、「常に良好の状態において管理」する責務を負っており(地方財政法第8 条)、消滅時効が完成しないよう債権回収の努力を果たす必要がある。従って、市は、早急に入居者管理に関する業務フロー及び徴収フローの改善に向けた新たな取り組みを行うべきである。具体的には、延滞債務者及び保証人に対する書面・電話・訪問等の多様な催告から最終的には法的手続ないしは減免に至るまでの一貫した徴収ルールを策定し、保証人の再設定により保証人制度を実質的に確立させ、長期滞納者については、使用許可を取り消し、退去を命ずるなどの措置を講ずべきである。また、保証人に対する保証意思及び資力の確認をするとともに、延滞使用料が少額の段階で保証人にも延滞状況を通知するなど、保証意識の向上を図る措置を講ずべきである。これにより、延滞使用料(不良債権)発生の抑止と徴収率の向上を図るべきである。
?蛇草第4 作業場隣接土地の使用(結果)
現場視察の際、作業場に隣接した市所有の空地部分を、作業場の利用者が自己の管理車両の駐車スペース等として無償で使用している状況が見受けられた。地方自治法において「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」(地方自治法第238 条の4 第7 項)と定められているが、市は当該土地使用を正式に許可しておらず、この点において地方自治法に違反する。このため、利用者に対しては速やかに車両を撤去し、今後、当該土地を使用しないよう指導するべきである。



*駐車場を民間事業者に無償貸与! 荒本老人センター

 (荒本老人センター写真)
 (荒本老人センター駐車場写真)


職員7 名(館長1、次長1、主任(保健師)1、技術職4)

(ア)業務合理化と受益者負担(意見)
同施設の人件費も含めた総コストは、平成17 年度で90,112 千円、平成18 年度で90,617 千円、平成19 年度で86,511 千円であるが、その大半は人件費である。職員数は、平成17 年度10 名、平成18 年度で9 名、平成19 年度で8 名、平成20年4 月現在で7 名と、退職後の不補充により減少傾向にあるものの、いずれも正職員で運営しており、嘱託職員やアルバイト等によっている場合に比べ、コスト高となっている。平成19 年度の来館者数一人当たりのコストは4,070 円となっている。同施設の
使用料は無料のため、全額が税金でまかなわれている。職員(技術職4 名)の業務としては、受付・来館者チェック・データ入力、お茶の用意・後片づけ、清掃、施設補修、パソコン指導など多岐にわたるが、いずれも専門性の低い単純業務であり、嘱託職員やアルバイト、外部委託で対応できる業務も多く含まれていると考えられる。中でも、技術職職員によるお茶出し・後片づけは、本来、利用者の自助に任せるべきものであり、他施設と比較しても過剰サービスとの印象を免れない。平日と土曜日では利用者数の差があることを考えると、利用者数に応じて技術職職員の配置をできるよう弾力的な雇用形態への見直しが必要である。技術職職員の業務については、合理化・簡素化を図ったうえで、嘱託職員やアルバイトの採用、外部委託等により人件費の低減を図るとともに、技術職職員については他の施設や市庁舎への配置転換を検討すべきである。また、高齢者の福祉の増進を図るという目的は理解できるものの、同施設は個人の選択性の高い施設であり、全額を税金でまかなうにはなじまない施設である。利用者間の公平性や受益者負担の観点からも、若干の使用料の徴収について検討すべきである。

イ)民間事業者の利用(結果)
北駐車場のうち2 区画は、近隣の民間事業者が既得権として無償で利用しており、市も暗黙のうちに利用を認めている。その経緯としては、市が駐車場等として取得整備する以前から、当該事業者が同土地の一部を駐車場として利用していた(写真(従前)に写っている倉庫的な建物が民間事業者の駐車場)との事情が存在するとのことである。しかし、同土地は行政財産(普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することを決定した財産をいう。地方自治法第238 条第4 項)である。行政財産については、東大阪市財務規則第149 条第1 項によると、地方自治法第238 条の4 第7 項の規定に基づき、「市長が特にその必要があると認めるとき」(第4 号)等に該当する場合に限り、その用途又は目的を妨げない限度において本市以外の者にその使用を許可することができるとされている。市は、土地買収の際に、「売買代金には、土地代、地上物の補償料、離作補償料、その他一切の補償料を含むもの」として支払っており(売買契約書第3 条第2 項)、賃借権等の負担を抹消することは売主の義務として約定されている(同第7 条)。市が民間事業者に引き続き駐車場を使用させる義務を負担することは不適切であり、「市長が特にその必要があると認めるとき」には該当しない。また、行政財産の使用の許可を受けようとする者は、許可申請書を提出することとなっているが(同条第3 項)、許可申請書の提出はなく、市が地方自治法第238条の4 第7 項に定める使用許可処分を行ったとの事実は認められない。以上より、同民間事業者に北駐車場の2 区画を無償で使用させることは、地方自治法第238 条の4 第7 項、東大阪市財務規則第149 条第1 項及び第3 項に反している。行政財産の使用の公平性を欠いており、民間事業者には、早急に駐車場の利用が認められないことを説明し、今後の使用を差し止めるなどの是正措置を講ずる必要がある。
(ウ)目的外利用の排除(意見)
市は、地区内施設利用者のために駐車場の使用を無償で提供している。しかし、駐車場には課金設備等はなく、誰でも利用できるようになっている。施設利用者以外の者の利用がないことも確認していないとのことである。同駐車場は駅や住宅街からも近く便利な場所にあり、施設利用者以外の者の利用があることは十分考えられる。利用状況を定期的にチェックするなど、目的外利用を排除できるような仕組みを設ける必要がある。


*低料金で民間浴場つぶし! 長瀬共同浴場
  (長瀬共同浴場写真)

浴場施設
(開業時間)午後4 時から午後12 時まで
(休業日)毎週月曜日
(入浴料)
大人(12 歳以上)1 人1 回200 円
中人(6 歳以上12 歳未満)1 人1 回100 円
小人(6 歳未満)1 人1 回50 円



      平成17 年度  平成18 年度   平成19 年度
歳入     6,976千円    7,448千円     7,062千円
歳出    26,949千円   25,835千円    26,306千円

?共同浴場の施設のあり方(意見)
共同浴場施設整備事業は同和対策事業の一環として実施されてきたが、平成8 年度をもって大阪府補助金は廃止されている。以後市の独自財源により共同浴場を維持管理している。現時点においては、長瀬地区における公営住宅の自家風呂普及率は約30%と低い水準にあり、長瀬共同浴場の果たす役割は大きい。しかし、これ以上浴槽のない住宅の増加が想定できないことから、利用者数は横ばいもしくは年々減少していくことが予想される。したがって、中長期的には周辺住宅環境の改善及び近隣の民間公衆浴場への誘導により、施設の廃止に向けた方策を検討していく必要がある。

*裁判終わってもほったらかし! 旧荒本会館

イ)現在の利用状況
公用廃止前、部落解放同盟大阪府連荒本支部(以下、府連支部という。)が目的外使用許可を受けて旧荒本会館(以下、旧館という。)の一部を使用していた。その後、昭和56 年に、府連支部が分裂し、荒本解放会館(新館)内に移転した。旧館には、部落解放同盟全国連合会荒本支部(以下、全国連支部という。)が使用することになった。その結果、旧館の目的外使用許可を受けた主体がなくなったため、市は、府連支部に対する目的外使用許可処分を取り消し、旧館を占有使用する全国連支部との間で明け渡し交渉を開始した。昭和58 年に旧館は公用廃止され普通財産となった。全国連支部は退去に応じなかったため、市は、全国連支部に対し、建物明渡訴訟を大阪地方裁判所に提訴した。その後、平成6 年に大阪高等裁判所で市と全国連支部との間で裁判上の和解が成立したものの、和解条項上、市が代替の事務所を用意し全国連支部が使用を開始するまで、明渡を猶予する旨が記載されており、市が代替の事務所をまだ用意していないため、引続き全国連支部が使用を継続している。
ウ)これまでの経緯
これまでの経緯をまとめると次のとおりである。
昭和58 年11 月 全国連支部に対し旧館明渡訴訟を大阪地裁に提訴
平成元年3 月 大阪地裁判決(権利の濫用として市が敗訴)
平成元年4 月 大阪高裁へ控訴(平成元年(ネ)第727 号事件)
平成2 年9 月 裁判上の和解を勧告される
平成3 年7 月 荒本地区協議会が設置され、和解の気運が高まる
平成6 年3 月 大阪高裁にて、裁判上の和解が成立する
エ)和解条項
和解条項を要約してまとめると、次のとおりである。
第1 項.全国連支部らの旧荒本会館の明渡。ただし、全国連支部が移転先事務所の使用を開始するまで明渡猶予
第2 項.市は全国連支部に対し、別の市保有地にプレハブ構造建物を建築し、以下の条件により事務所として無償で使用せしめる
第3 項.移転先事務所(本件事務所)の使用
1.自己の事務所及び敷地とするほか、他の目的に使用しない。全国連支部を主要な構成員とする荒本地域の団体を除く第三者に使用収益をさせない。
2.契約期間は3 年。双方の意思の合致により更新。使用目的違反、その他使用の継続を拒否する正当な事由が生じたときは市は更新を拒絶できる。
第4 項.市は目録記載の備品を調達し、本件事務所に備えつけ
第5 項.市は本件事務所に市の職員を配置しない
第6 項.市は本件事務所を1995 年3 月末を目途に建築し、全国連支部の使用に供する
第7 項.市は、全国連支部において下記事由が生じたときは契約解除できる
1.使用目的に違反した場合
2.全国連支部の使用の継続を著しく不適当とする事由が発生した場合
第8 項.契約期間が更新されることなく満了した場合または契約が解除された場合には、遅滞なく本件事務所を市に明け渡す
第9 項.明渡期限終了に至るまでの間において、旧荒本会館の電気料金、水道料金、ガス料金ならびに電話料金は市が支払を負担
第10 項.市は、旧荒本会館の明渡を完了した後、30 日以内に和解金1,000 万円を支払う
第11 項.市は全国連支部に対してなした仮処分申請を取下げ、申請事件の決定に基づく執行を解放する
第12 項.当事者双方は、本和解に定めた条項の解釈について疑義を生じたときは、協議をし誠実に対応する
第13 項.当事者双方は、荒本解放会館の適正な運営を実現するため、誠実に対応する
第14 項.市のその余の請求を放棄する
第15 項.訴訟費用は各自弁とする
オ)和解後明渡がなされていない理由
和解条項第2 項に、市が別の市保有地にプレハブ構造建物を建築し、事務所として使用させることがうたわれているが、同保有地は産廃業者が占拠しており、明渡を求めたが同産廃業者が応じなかった。そのため、市は、プレハブ構造建物を建築することができず、現在まで旧荒本会館の明渡がなされていないとのことである。
?意見
和解条項第14 項において、市がその余の請求を放棄する旨が記載されているため、今後、裁判上の和解内容を変更することには、一般的に困難を伴うことが予想される。
しかし、他面、地対財特法が失効した現在、裁判上の和解の前提となった事情に重大な変更が生じている。裁判上の和解成立以降、市は,全国連支部に対し旧館の無償使用を継続し、光熱費(年額約200 万円)を約14 年間にわたり負担してきており、今後とも、市が事務所の建設や和解金の支払などに多額の公費を負担することに市民の理解を得るのは難しいと考えられる。
和解条項第13項には、「当事者双方は、本和解に定めた条項の解釈について疑義を生じたときは、紛争を未然に防止するため、協議をし、誠実に対応する。」ことが定められている。裁判上の和解成立の前提状況に重大な事情変更が生じており、「和解に定めた条項の解釈に疑義を生じ」るに至っている。
もはや、市だけで解決できる問題ではなく、弁護士等の外部有識者を含んだ検討会を設置し,和解成立後の社会状況の変化等を踏まえ、裁判上の和解に基づく市の債務(和解金の支払及び移転先の提供)を履行するか、市の債務に関する和解条項の見直しを求めるべきかについて検討したうえで、問題の早期解決を図る必要がある。