同和対策審議会答申(略称「同対審答申」) とは

*同和対策審議会答申(略称「同対審答申」)
1960 (昭和35)年に総理府の附属機関として設置された同和対策審議会が、内閣総理大臣から受けた「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」についての諮問に対し、1965(昭和40)年 8月11日に提出した答申。
この答申は、わが国の同和対策史上、画期的な意義をもつものであり、部落問題の解決を基本的人権にかかわる民主主義の課題としてとらえていること、同和行政は「基本的には国の責任」であることを明らかにしていること、部落差別を意識や観念の問題としてのみとらえる考えを排し、「同和地区住民の生活実態に具現されている差別」=「実態的差別」を認めたこと、問題解決のためには総合的な対策が必要であるとし、その内容についても具体的に言及し、「特別措置法」の必要性を提言していることなど、多くの点で評価すべき重要な積極的内容をもっており、答申が出されたことによって同和行政は、それ以前にくらべるといちじるしく前進し、部落差別の解消に大きな役割をはたした。しかし反面、明治維新以後の近・現代における部落問題については、答申における認識はきわめて一面的で、近・現代における部落問題の認識にとって欠くことのできない絶対主義的天皇制、寄生地主制、あるいはまた現代日本の独占資本主義とのかかわりについては全くふれられていない問題点があった。
このあと、答申に基づいた特別措置法がつくられ、2002年、基本的には部落問題は解決したとして法は終了した。