属地・属人主義とは

同和対策事業が2002年まで行われた。その際の同和行政の受給対象について属人主義、属地主義および属地・属人主義という 3つの考え方があった。
属地・属人主義とは、同和地区権に居住している部落出身者しか同和行政の事業や施策の対象になりえないとする考え方であり、属人主議とは、同和地区に居住しているかどうかにかかわりなし部落出身者ならば誰でも同和行政の受給者になりうるとする考え方である。
しかし属地・属人主義にせよ、属人主識にせよ、「属人」ということを受給資格要件とするかぎり、部落出身者であるかどうかをあらいなおし、改めて「部落民」のレッテルをはることになった。これは部落解放を促進する同和行政の立場と相容れないだけでなく、「部落出身者であるか否かを行政当局が判定するのは差別だから、それは俺たちにまかせろ」ということで、部落解放同盟などの特定の運動団体による「窓口一本化」行政の口実をあたえ、同和行政の私物化を許すことの根拠になった。
属人主義や属地・属人主義はまた、法的にはなんらの根拠もない。同和対策事業特別措置法は、「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」を「対象地域」と称し、「同和対策事業の目標は対象地域の住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消することにあるものとする」と規定しており、この点に関連してだされた政府の通達や同和対策協議会事の意見書なども、いずれも属地主義の原則、すなわち部落出身者であるかどうかにかかわりなし同和地区に居住する人すべてを同和行政の対象にするという考え方にたっていた。部落出身であるかどうかを問題にし、部落出身者以外を同和行政の対象から除外するというようなやり方は、同和地区の内部に新たな対立と分裂をもちこむものであった。
大阪では、窓口一本化裁判によって、部落解放同盟による属人主義による受給者の認定判定が否定されたが、同和事業促進協議会(部落解放同盟主体の法人組織)による属人主義による認定判定行政が引き続き行われた結果、東大阪市などでは同和向け公営住宅の売り買い、入居者の多くが在日外国人というよな異常事態が生じた。