農地改革とは

第2次世界大戦後、1946(昭和21)年末から1950年前後にかけて、アメリカ占領軍の指令でおこなわれた農業における土地所有の民主的改革のこと。
この改革によって、日本の農地のなかばちかくを占めていた小作地の8割が、政府の手で有償で地主から 2反(約20アール〉以上を耕作する小作人にひきわたされ、農民の多くは半封建的な地主・小作関係から解放されて自作農となり、戦前の寄生地主制は基本的に解体された。
しかしながら農地改革の政治的な目的の一つとしては、農民を土地をもつ保守的な農民とすることによって、農村を保守勢力の地盤として再編成しようとする狙いもあった。
そのため、2反以下の耕作者には土地の再配分は行われず、全国平均 1町歩(約 1ヘクタール〉以下という制限つきではあったが地主保有小作地が残され、広大な林野の解放も行われなかったなど、多くの点で不徹底な面が残された。当時の未解放部落の農民たちは、その多くが 2反未満の零細農家であったため、農地改革によって農地の再配分をうけた者は多くはなかった。
しかし、農地改革によって半封建的な寄生地主制が基本的に解体されたことは、絶対主義的天皇制国家の解体とも相まって、明治維新以後も部落住民に対する封建的身分差別を残し支えてきた物質的基礎がとりのぞかれたことを意味しており、部落差別の解消にとって有利な客観的条件が切りひらかれたことは事実である。