(2)同和問題に偏った調査に対する拒否傾向


同和問題に偏った調査に対する拒否傾向が見られる。~


   総数    2000人 回収率 45,2%  903人~


うち大阪市   621人 回収率 35,8%  209人~


府下  1388人 回収率 49,3% 685人~


というように、半数以上の府民が回答をせず,大阪市民に至っては3人に2人が回答しなかったという事実である。この種の調査は過去5年おきになされているが、今回初めて回収率が50%を割った。回答者の特徴は高年齢化社会を反映して60歳代の回答者が21,8%70歳代の回答者が20,5%を占めている。

(3)人権問題学習の中味は同和問題学習


人権問題学習の中味についてであるが、問8−2で学校・職場で一番印象に残っているのは何かという問に関して、同和問題と答えたのが68,1%であった。このことからも人権問題学習=同和問題学習であったといえる。これらの中味は授業・講演・ビデオ視聴覚教材によるものがほとんどである。大阪の小中学校での同和問題学習といえば、副読本「にんげん」による授業が一般的であり、各種研修の講師といえば部落解放同盟支持者、関係者が一般的であった。

(4)結婚に関する意識の状況から


同和問題の最後の壁と言われていた結婚問題である。前回までの調査は、人柄・性格などの現実的な回答を除いたもので批判を浴びてきたアンケートだった。しかし今回は,現実的な回答項目が載せられた事により,府民のより現実的な結婚意識が明らかになったといえる。~
 問3で自身の場合と子どもの場合とに分けて尋ねている。~
自身の場合、「人柄・性格」84,3% 「趣味・価値観」50,2% 「経済力」44,7% が上位3位である。~
子どもの場合、「人柄・性格」81,7% 「経済力」50,2% 「仕事への理解と協力」42,6% が上位3位である。~
 同和問題が、自身の場合20,6% 子どもの場合21,2% と低位である。同和問題が気になるというのが少数派であることが明白となっている。~

(5)住居を選ぶ際の意識の状況から


 法的に同和地区がなくなって9年がたつ。にもかかわらず、八尾市長のように同和地区が今もあると議会で発言し、議員がそれはどこの地区かと尋ねると、尋ねることは差別発言だと公言する状況にある。行政がもう同和地区はない、これからもない、住民からの問い合わせに関しても、「もうない」と答えないのであるから、忌避意識が解消しないのはあたりまえである。そんな状況の中で旧同和地区に関して土地差別と結びつけたアンケートを行うのだから、忌避傾向がでてくるのは当然である。~
「避ける・どちらかといえば避ける」55,0% という結果も当然である。行政が土地差別と言うなかでも、避ける以外が45%もいることに注目すべきであろう。住民の方が健全なのだ。~
 さて住居の購入や入居を避ける理由であるが、「治安の問題などで不安があると思うから」54.3%、次いで「生活環境や文化の違い、言葉の問題などでトラブルが多いと思うから」45.8%、「次の移転の際、転売が難しかったり、安く処分せざるを得なかったりするから」が34.2%であった。~
 これらの理由は、どこの住居を選ぶ場合でも避ける理由として妥当な理由である。旧同和地区に限らないのである。上記の意識が生まれるのはなぜかと言えば、それはそのように意識せざるを得ない現状があるからだ。治安の不安をなくす、環境・文化の違いをなくす、トラブルをなくす、などの行政施策が必要なのだ。~

(6)同和問題に関する差別意識から


 差別意識に関する回答であるが、相変わらずが13,2% 強まるが0,3%と少数派。ないが9,2% わからないが14,1%というようになっている。多数派は、「薄まりつつあるが残っている」53,5%である。まだ差別意識は残っているが、どんどん薄まりつつある、というのが府民の率直な意識である。これをど評価するかということであるが、どんどん差別意識は無くなりつつあるというように府民は健全な意識であると理解すべきである。差別意識はいっぺんになくなるものではない。だんだん薄まってなくなっていくものである。

(7)同和地区に対するイメージから

 同和地区に対するイメージについてたずねたところ、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の合計の割合は、『(10)いまでも行政から特別な扱いを受け、優遇されている』の割合が55.4%ともっとも多く、次いで『(6)なにか問題が起こると、集団で行動することが多い』が53.3%、『(8)同和問題に名を借りた、いわゆる「えせ同和行為」で不当な利益を得ている人がいる』が50.6%と高くなっている。~
 部落解放同盟系列の人権協会、人権金融公社などに対する特別扱いを府民はよく見ている。部落解放同盟によるコカコーラ等に対する確認・糾弾などが行われたことを府民はよく見ている。えせ同和についても同様なのだ。~
 そして、イメージをもった理由についてたずねている。「とくにこれといったイメージはなく、単なるイメージ」と回答した割合が36.4%ともっとも高く、次いで「自分の身近にいる人が話している内容から」が29.5%、「学校時代の学習経験や地域・職場での研修などから」が16.1%とある。
 単なるイメージを払拭することはたやすい。行政自らが同和行政終了宣言を行い、同和教育をやめる。同和の特別扱いをやめる。確認・糾弾を禁止させる。えせ同和行為を見逃さない。これだけのことをすればよいのである。~

(8)同和問題を知ったきっかけから

 問11で同和問題を知ったきっかけについて尋ねている。回答者の年齢別でみると、「父母や家族から聞いた」と回答した割合は、60歳代で36.5%ともっとも高く、次いで70歳以上が33.0%、50歳代が30.6%と高くなっている。また、「学校の授業で教わった」は、30歳代で63.0%ともっとも高く、次いで40歳代が52.0%、20歳代が50.0%となっている。~
 若い世代ほど、学校教育の中で学習したということである。解放教育研究会作成の「にんげん」教材が大阪では広く使われた現実から、同和問題に対する誤った認識が植え付けられ広げられたということを押さえておかなけばならない。~

(9)同和地区の噂から


 問18で同和地区の噂に関して尋ねている。
「同和地区の人はこわい」とか、あるいは「同和対策は不公平だ」というような話を聞いたことがあるかについてたずねたところ、「ある」と回答した割合が60.5%であり、誰から聞いたかをたずねたところ、「友人」と回答した割合が39.5%ともっとも高く、次いで「近所の人」が28.0%、「職場の人」が27.4%となっている。~
 このことに対して「そういう見方もあるのかと思った」と回答した割合が55.6%ともっとも高く、次いで「そのとおりと思った」が23.1%である。~
 火のないところに煙はたたず、というがごとく噂というのは、一定の真実を写すものである。部落解放同盟は怖い、行政はいまだに同和行政を続けていることを府民は見抜いているのである。~

(10)同和問題を解決するための施策から


同和問題を解決するために効果的と思われる施策や対応についてたずねたところ、「非常に効果的」「やや効果的」と答えた人の合計の割合は、『(4)学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、広く人権を大切にする教育・啓発活動を積極的に行う』が56.3%ともっとも高く、次いで『(7)同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、協働して「まちづくり」を進める』が53.0%、『(6)行政だけでなく、民間の人権団体も課題解決に取り組む』が47.7%となっている。
 あらためてこういう問を出されれば,以上のような回答をよせるのが極めて普通であろう。それだけに、これまで行ってきた教育の中味、人権啓発の中味の検討が不可欠だろう。交流の在り方の検討も必要であろう。

(11)学歴別同和地区に対するイメージから


報告書票5−1−1−8に、高学歴の人ほど、~
「所得が低い人が多く住んでいる」~
「閉鎖的な意識を持った人が多い」~
「集団で行動することが多い」~
「えせ同和行為がある」~
「特別扱い、優遇されている」~
と考えている傾向が見られるのはなぜか。と言うことですが,次のような理由が考えられる。
○学歴が高い人ほど、情報量を多く持っている。その情報源は、学校での教育情
報、学校を通じてより多くの情報を得てきた。~
○社会に出てからも、高学歴の人ほど、職業生活などを通じて諸情報を多く得る
機会が多い。~
○インターネット。新聞、雑誌などから諸情報を多く得ることできる。
上記のイメージに関しては、そのイメージを形成する諸現実があり、諸現実がな
ければイメージを形成しようがない。例えば、「特別扱い、優遇されている」と
いうイメージに関して言えば、大阪市で言えば市民交流センターでの実情、人権協会(実質部落解放同盟)への優遇措置などの実態があり、その実態を見聞きする機会が多いほど、イメージが膨らむと考えられる。~